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老犬ビーンズ君を振り返って(その6)最終回

この時奥様は、
「嘘のようによく食べるんです。これなら当分大丈夫だ!と主人も言っておりました」
とおっしゃっておりました。私としてはそれでも気になります事がございましたので、
内心、本当にそうだろうか・・・という思いもありました。

お預かりをいたしまして訓練所へ戻り、何時もの様にお散歩を致しましてからハウスをさせます。
さて、夕食の時間となりましたので食事を与えましたが、食べません。
これは飼い主様が出張からお帰りになりますまで、どうなるか、心配な状態であると判断いたしました。
点滴で持たせるしかないのではないか・・・?
この時先生から、入院をさせて徹底的に治療をしてはどうか、と勧められましたが、
通院を希望いたしました。其の日から3日間、毎日通院を致しました。

何故?とお思いの方もいらっしゃる事でしょう。
それは、普段からビーンズ君の様子、精神状態を見てきております私には、
長期の入院ではないとしても、果たしてビーンズ君の精神状態が耐えられるのだろうか?
と思えたからです。誰も知らない所で、病気ゆえに孤独と戦いながらの入院生活は、
ビーンズ君にしてみればもの凄いストレスなのです。
ビーンズ君の場合、歳と共に精神状態の不安定が度を増して来ておりました。
なのでお預かりを致します時にはいつも様子を見ながら、途中帰宅させたり、
大丈夫と判断致しました時は通しでお預かりしたり、その都度判断しておりました。

話をしておりませんでしたが、ビーンズ君(ダルメシアン)には弟分のライス君(シュナウザー)が
おります。この子が何時も付き添い役なのでございます。
長年一緒に生活をしておりますので、お互い安心感があるようです。

飼い主様が出張からお帰りになりますまで、どうか・・・毎日祈るような気持ちでございました。
3日間のあいだには自力で立つことも出来なくなり、介助しながら排泄をさせたり、
床ずれしないように体位を変えたり、度々ハウスを見に行ったり・・・

お電話がありましたのは3日目の午後でしたでしょうか?
「いま帰ってきましたが、ビーンズはどうでしょう?」

3日間の様子を詳しくお話致しまして、本来なら翌日までのお預かり予定でございましたが、
お電話の後、帰宅させる様に変更していただきました。
お医者様へ、という話もございましたが、ビーンズ君の体が
お薬を吸収する力がございませんでしたので、其の事もお話致しました。
帰宅した日、翌日の2日間、昏睡状態が続きましたが、3日目の朝に
「眠るように息を引き取りました」とお電話がございました。
16年の生涯でした。

ご主人様の元で、そして大切に思い愛してくださった周囲の沢山の方たちに見守られていたのは
ビーンズ君を幸せに心穏やかにさせたことでしょう。
だからこそ眠るように旅立って行けたのではないかと思うのですが・・・
結果論ではございますが、私と致しましては、ビーンズ君にとって最良の形で
旅立ってゆけたのではないかと思っております。
後に振り返ってみまして、もっとあんな事も、こんな事も、と思うことはございますが、
後悔の念はございません。
ビーンズ君が亡くなりました事は残念には違いありませんが、誠心誠意、精一杯、
其の時出来る限りの事をしたつもりですので、
心はすがすがしさを感じております。

犬も人と同じでございます。体質も違えば性格、癖等もそれぞれ皆違いますので、
当然対処法も違って来るだろうと思います。
其の犬をよく知り、対処の仕方を考えてゆくことも大切なのではないかと思います。

そして誠心誠意、其の時出来ます事を一番良い方法と思われます形で、
尽くすことではないかと思うのです・・・

何時も肝に銘じている事なのですが、歳を取っているという事は普段は元気にしていましても、
或いは元気に見えましても、一寸したことで何かが起きれば
すぐさまガタガタッと見る見る衰弱して行きます。
老犬、仔犬等は免疫力、抵抗力が普通の犬に比べてございませんので
特に心して当たらなくてはなりません。

其の後、周囲の人によりますと、奥様は軽いペットロス、
弟分のライス君は起きている出来事の訳が分からず挙動不審になり・・・
暫く此方でお預かりをしてお世話をしておりました。
其の時以前ライス君が使用しておりましたハウスへ入れますと、今までの事を思い出すのか
四六時中泣いて落ち着かない様子です。
そこで仕事で出かけます時は何時もつれて行き、出来るだけ関わってやり、
ハウスも全く別なハウスにし、ビーンズ君と関連づく物は全て遠ざける様に致しました。
そうする事で以前より改善されては行きましたが・・・

現在は仔犬(フレンチブル)を迎え入れて飼っていらっしゃいます。
仔犬の世話はとても大変なご様子ですが、良い面、そうでない面、
全てを受け入れて楽しんでいらっしゃるご様子です。
またライス君も最初は勝手が違い戸惑っていたようですが、
今では其れなりに仲良くやっているそうです。

投稿者 紀泉警察犬訓練所 : 2009年3月31日 16:54

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